ハイドンは最高の音だつたオーディオの追求する一つの理想の音のホール
ものを評価する時に「良い」とは言えますが「最高です」とはなかなか言
えないものです。感動して最高のものに出会った時,即座に心は反応しますが、同時に本当に最高か,それが過去の経験の中でどのような位置付けにあるか、どのように最高であるかを考えます.最高, という評価は即座には日に出せません.
この日は快晴の夕方で,プログラムはハイドンとチャイコフスキーでした.後半のチャイコフスキーは周波数レンジも広いので,良い演奏ではありましたがハイドンほどではありませんでした。最初のハイドンは楽器の音域も広くないことも手伝ってか,私が今まで経験した音楽の音の中で最高の音でした.
つまり,このホールは,ムジークフェラインザールのように多くのジャンル(すべてではない)で最高の音を聞くことはむずかしいが特定のジャンルではこのホールでしか聞けない最高の音の音楽を聞くことができる, と思いました.
今回は,その音がどのように最高であり,そこにはどのような要素があったかを紐解きながら書いていこうと思います。
コンサートホールの音を訪ねても,今回で9回目になります.編集部から言われていたのは,「首都圏に集中しないで各地のホールにも目を向けて欲しい」とのことでした.5月末に慌ただしくチケットをとって大阪に赴いたのでした.
本記事は『ラジオ技術』2013年9月号に掲載されています。