演奏者に高い評価のホール
「すみだトリフォニーホール」は東京・錦糸町に1997年に作られました。サントリーホールなどいくつかの良いホールができたあとに作られたこともあり,いろんな面で、こなれた物つくりを感じます。この地域の再開発計画の一事業として取り組んだ行政の前向きな活動や、そこに関わった建築設計や音楽関係の人々など、それまで日本のホールつくりの粋を集めて作られた感があります。勿論その結果は音にも現れています。今回はホール作りに日本に根ずいた音楽文化を感じながら書きました。というのも、一聴して、あの日本の産んだ世界のマエストロの音を感じたのです。
また、もう一つの驚きは、聞き終えてみると、あのウイーンのムジークフェラインザールのシューボックス型を基本に作られているのに、シューボックス型を感じさせない独特の音がしました。この音の秘密を物つくりと音響理論から考えて行きましょう。
本記事は『ラジオ技術』2013年8月号に掲載されています。